『アイアンマン2』はマーベル・シネマティック・ユニバースの3作目で、タイトル通り『アイアンマン』としては2作目です。
あらすじ
『アイアンマン』の戦いから6ヶ月後…アイアンマンとして一躍人気者になったトニーは、胸にあるリアクターの影響で血中毒素が増えてしまっていた。
更に政府から召喚を受け、アイアンマンスーツの引き渡しを求められる。しかし自分(アイアンマン)の存在が戦争抑止力と自負するトニーは、同じものは他国には作れず、国防を民営化したと豪語し拒否。世論の味方もありアイアンマンスーツは没収されずに済む。
余命わずかと考えたトニーは会社の経営をペッパーに譲り、テクノロジーを後世に残すためにスターク・エキスポ(万博博覧会)を開催。
その後モナコで、トニーは余命わずかで怖いもの知らずになったためか、無謀にもカーレースに参戦。その最中に、自分のリアクターに似た動力源を持つ謎の男に襲われる。ハッピーとペッパーの協力でアイアンマンスーツを着たトニーは謎の男を退治したものの、同じスーツを他人には作れないと言っていたトニーは批判の的になり、ますます血中毒素も増して苦しい立場になって行く…。
感想・雑記<ネタバレ注意>
今作は話が少し込み入ってますね。あらすじでどこまで書くのか悩みました。少し話を整理します。今回の話は、
- トニーのリアクターと健康問題
- トニーとペッパーやローディとの関係
- 父親からの遺産(トニーもイワンも)
- 政府からの圧力
- 新ヒーローのウォー・マシン(=ローディ)とブラック・ウィドウ(=ナターシャ・ロマノフ)が登場
- シールドからの接触&トニー・スタークがチーム(アベンジャーズ)の一員として相応しいかのチェック
- 今作のヴィランであるウィップラッシュとの戦い
- トニーの後釜として武器を売るジャスティン・ハマーの存在…
と盛りだくさん。見所が多くて楽しい。
序盤の、スーツケースからアイアンマンスーツを装着するシーンがカッコいい。あのスーツには飛行機能が無かったのかな?陸上戦でした。トニーの自宅地下でトニーとペッパーが話している時、よく見るとスーツケース型スーツが映っています。開発に注力していたのだろうと推察できます。持ち運びに便利ですね。あと思ったのは、ビームを撃つのにタイムラグがあるのは何でだろう?ということ。瞬時に撃てれば連発もできるから楽勝だったのに…。
今作はトニーとペッパーの掛け合いが更に面白くなっているのが良いところ。トニーとナターシャ(ブラック・ウィドウ)のやり取りも面白い。特に初めて会った時なんか、トニーは完全に悩殺されてます。無口になっちゃってます(笑)。トニーとペッパーの、社長室での回転するオブジェの下りとかも笑える。ローディとの友情が深まったのも大事なポイント。
アクションシーンも前より良くなってますね。特に終盤の夜空を飛行して逃げるシーンは疾走感がよく出ていて観ていて飽きない。そして最初は喧嘩だったビームの衝突で敵を倒すのが良いですね。ちゃんと伏線になっている。
トニーを勝手にライバル視している、武器商人のジャスティン・ハマーが小物臭丸出しな感じも面白かった。ローディがハマー製の「”別れた妻”を食らわせる」と小型ミサイルみたいなのを撃ったり…。あれはただの万年筆では?ペンにしか見えない(笑)
トニーはレースカーでひっくり返ったのに全く怪我をしなかったのでしょうか(笑)。ウィップラッシュも、ハッピーの運転する車に引かれたはずなのに足とか骨折しなかったのでしょうか?さすが超人ですね。
ところでローディが盗んだアイアンマンスーツ(マーク2)は、初めからリアクターが装着されていたのでしょうか?トニーの胸にあるリアクターだからこそアイアンマンスーツは動くと考えていましたが、突然ローディが使った上に初めてのはずなのに&喋るAIも無いのにまともに空を飛びました。トニーは『アイアンマン』で安定飛行に苦労したのに…。身長や体型も同じ?
ニック・フューリーがトニーに「君は問題だ。私が対処しなきゃならない。君は最重要人物じゃない。君より大きい問題を抱えている」と言うセリフがありましたが、君より大きい問題というのは”ハルク”のことを言っているのだろうと僕は解釈しています。しかしトニーの症状を理解していて、一時的な緩和剤まで用意していたシールド恐るべし。恐ろしいほどの情報網ですね。
小ネタ<ネタバレあり>
- 本作で”スターク・エキスポ”という万博博覧会が開催されていましたね。あれはトニーの父ハワードが始めたもので、『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』(舞台が1940年台)で主人公スティーブも訪れていました。10年に1度開かれる設定です。
- 序盤にトニーが、アイアンマンの存在が平和をもたらしたと話しました。核兵器による抑止力と同じですね。しかし核兵器開発がその後の軍拡競争を招きました。現実のその流れを汲んで、アイアンマンの誕生が他の”スーツ”の誕生・競争を生み出した…という背景があるとか。”次の世代に何を残すか”もこの映画の主題だと。
- 公聴会でトニーを尋問した政治家は『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』にも登場し、ある事実が判明します。
- ローディ役の俳優がドン・チードルという人に変わりましたが、公聴会でトニー「君が来るとは」ローディ「呼ばれたんだ。何も言うな」というセリフがありました。あれは俳優が変わったことを伝えるための(それでいてストーリー上の会話としても違和感が無い)、脚本には無いセリフだったそうです。
- ハッピー・ホーガン(トニーの運転手兼ボディガード)を演じているのは、今作と前作『アイアンマン』の監督であるジョン・ファヴローです。『アイアンマン』ではあまり出番もセリフもありませんでしたが、今回は出番が増えコミカルなキャラクターとして描かれていましたね。ブラック・ウィドウと共にハマー社に乗り込み、敵を1人だけやっつけました。笑
- 今回のヴィラン”ウィップラッシュ”がモナコのレース場に入れるように手引きした男は、”テン・リングス”の一員です。テン・リングスは前作『アイアンマン』でトニーを拉致したテロ組織ですね。『アイアンマン3』でも出てきます。また、今後公開が予定されている『シャンチー/テン・リングスの伝説』にも出て来ると思われます。何しろ露骨にタイトルへ入れてますからね(笑)。今後の映画も楽しみです。
- モナコでイーロン・マスクがカメオ出演しています。イーロン・マスクはアメリカの宇宙開発事業会社スペースXと、電気自動車会社テスラのCEOですね。2020年にテスラ株が異常に高騰してニュースになったりしたので、聞いたことくらいはあるかもしれません。世界有数の資産家です。ペッパーやトニーと握手していました(ストライプのシャツに白のジャケットを着ていた人です)。スペースX社で撮影させることの見返りがカメオ出演だったようです。ハマーがドローンを作っていた場所がスペースX社で、あそこでロケットや自動車を作っているとか。実際はクイーンズには無いそうで、スターク・エキスポとの往来を考え、クイーンズにハマーの工場があるという設定になったそうです。ちなみに、映画版トニー・スタークはロバート・ダウニーJr.そのものと言っても良いようなキャラクターですが、イーロン・マスクがモデルという話もあります。(今作と何も関係もありませんが、スパイダーマンはクイーンズで活動しているキャラクターです。)
- トニーの自宅でエージェント・コールソンが「これは?」とキャプテン・アメリカの盾の試作品(あるいはただの模型おもちゃ?)を出しました。コールソンはキャプテン・アメリカのファンだと『アベンジャーズ』で言っていたので、どうしても気になったみたいですね。
- 『アイアンマン2』と『インクレディブル・ハルク』は同じ時期の出来事だったことが推察されます。その理由は、終盤にトニーとニック・フューリーが倉庫みたいな場所で会った時、ハルクが大学で陸軍と戦った後のニュース映像が流れていたからです。
- 同じ場面で、クレーターが映っているモニターもありました。ソーのハンマーが見つかった場所(ニューメキシコ州)ですね。
- またしても同じ場面で、ブラックパンサーが居るワカンダ(アフリカの架空の国)と思われる場所が世界地図でマークされていました。シールドはアベンジャーズ計画の候補となる超人を、世界中で探していることが伺えます。どの場所か分かりませんが、監督によるとソーとキャプテン・アメリカに絡む場所もマークされているとか。僕の勝手な考えでは、ソー関連はハンマーの見つかったニューメキシコ州(アメリカ南西部)と北欧神話にちなんで北ヨーロッパ辺り。キャプテン・アメリカは北極近く。
- おまけ映像はコールソンがニューメキシコ州に着いたシーン。クレーターの中心にあるハンマーを遠くから眺めて、「長官 発見しました」と電話し、雷の音が鳴って終わりました。次回作である『マイティ・ソー』の予告と言える内容でしたね。予告というよりプロローグでしょうか。
終わりに
この映画は、ヴィランの魅力が欠けるとかでイマイチと評価する人もいるようです。僕は1作目より楽しめましたが。どうせなら『アイアンマン』シリーズ3作のトータルで評価した方が良いかもしれません。