今観てもやっぱり面白いアベンジャーズ。この映画について改めて語りたくなったので、感想や疑問点などを書きます。この記事は次のアベンジャーズである『エンドゲーム』を含めてネタバレしているので、まだエンドゲームまで観ていない方は気を付けて下さい。
感想・雑記
以前から存在していた、あらゆるものが無くなった(亡くなった)話でしたね。
例えば、コズミックキューブ(四次元キューブ)やアガモットの目が壊され中身が取り出されたりしました。
ヘイムダルとロキが死亡し、ガモーラやヴィジョンも死亡。ヴィジョンは元々ジャービスだったので、そう考えると1作目からずっと居たキャラでした。
映像で出てきた訳ではありませんでしたが、ソーの話ではザンダー星が滅ぼされたとか。ノーウェアもそんな惨状でしたよね。
そして最後に半数の人が消されるというトドメ…。
『インフィニティ・ウォー』は、特に最初と最後がショックな内容でした。
ともあれ、『インフィニティ・ウォー』は、ソー復活の物語と言っても良かったのではないでしょうか。ヴィランであるサノスが1番目立ってしまう映画でしたが、スーパーヒーローの中ではソーがMVPだったと思います。サノスに唯一まともなダメージを与えたヒーローだったし、ワカンダの戦局をたった1人でひっくり返しましたからね。ロケットとグルートのお陰で両目に戻り、新武器を手に入れました。
『バトルロイヤル(原題:ラグナロク)』でも感じていましたが、ソーは地球の影響を結構受けていますね。ポッドを使うには4桁の暗証番号が必要なのかと言ったり、喋り方もオリジンの時よりも砕けた感じになって来ています。
あと、ソーはなかなか死なない笑。ヘラに片目を潰され、サノスからパワー・ストーンの攻撃を頭に喰らう、サノスに宇宙船を爆破させられ宇宙空間に放り出される、ニダベリアで力技でリングを動かし、星のパワーを背中からもろに喰らう……。これだけのダメージを負っても死なないなんてまさにアベンジャーズ最強の男。
更に言えば、ソーほど酷い目にあったキャラは居ないと思います。『ダーク・ワールド』で母親を殺され、思わぬタイミングで父親も失いヘラにハンマーを壊される。アスガルドに行ったヘラに3人の友人(ウォリアーズ・スリー)を殺され片目を潰され、故郷のアスガルドを失う。そして地球を目指していた時にサノスの襲撃に遭い、半分の民と親友・弟を殺される…。スペース・ストーンも奪われる。
絶望してもおかしくないこれだけの体験を経てもなお戦いを続けるソーは、体の耐久力以上にメンタルが非常に強いキャラクターだと思います。だからこそ、ワカンダでの登場シーンに感動するわけです。
ガーディアンズの最初の登場シーンで、ガモーラが一緒に歌っていたのが少し驚きでした。ロケット以外のメンバーもグルートの言っていることを理解できるようになっていたし、クイルとガモーラの雰囲気も良かったし、数年の旅の間に結束が強くなったんだなと感じさせました。だからガモーラの最期が辛いところ。
その他ガーディアンズで気になったキャラはロケットですね。ウサギ呼ばわりされても怒らず、ソーの話を聞いてあげたり義眼を渡したり、「俺は失うものがうんとあるけどな」と言ったり…。最初の頃のロケットだったらもっと違う反応だったと思います。ロケットもこの数年で大きく変わったんだなぁと感じました。一方で変わらないのは、なぜか障害者から体の一部を盗むこと。オリジンではクイルに義足を盗ませ、ソーにあげた義眼もパクった物のようだし、今回の狙いは何とバッキー。「くすねてやる」と言っていましたが、バッキーが消えたことで叶いませんでした。義手も消えるのか、と思いましたけど。笑い事じゃないけど笑えてしまいます。それにしてもグルートをまた失うというのはひどい…。気の毒過ぎる。
サノスの手下である4人のブラックオーダーの最期はみんなあっさりでした。4人ともアベンジャーズが苦戦した程だったのに。特に、超能力者でストレンジに勝ったマウとかいうキャラが、あっさり宇宙空間に放り出されて死亡というのは拍子抜けでした笑
良かったところ
カッコイイ登場シーン
何人かのヒーローにはカッコイイ登場シーンが用意されていましたね。例えば、
- サノスを奇襲したハルク
負けはしましたがカッコ良かった
- ストレンジ
登場シーンではありませんが、ストレンジが浮遊マントを羽織って一瞬で私服から正装に衣替えしたり、魔法陣を出して構えるシーンとかカッコイイ
- ニューヨークでのトニーのアイアンマンスーツ装着シーン
- アイアンマンを助けに入ったスパイダーマン
- ガーディアンズらしい登場のガーディアンズ
- 電車の影から現れたキャプテン・アメリカ
- ワカンダの戦場にビフレストで現れたソー
『インフィニティ・ウォー』で1番盛り上がる場面はやっぱりここでしょう。仲間のピンチに駆けつけたというのが良いし、ソーが現れた丁度このタイミングで、アベンジャーズのメインテーマが流れるというのも興奮を高めますね笑
ソーが今までどんな目に遭って、どんな道のりを歩んできたのかを思うと少し泣ける程です。
たった1人で戦局をひっくり返したソー、さすがです。
- タイタンでサノスを強襲したネビュラ
小型宇宙船でサノスに突っ込み、飛び出して来てパンチを加えたネビュラもカッコ良かった。
クロスオーバー
アベンジャーズである以上ここが1番の楽しみと言って良いでしょう。久々の再会や初めての共演が色々ありました。
ブルースは他のメンバーとはソコヴィアでウルトロンと戦った時以来の再会でした。
ローディ、ブルース、スティーブ達がアベンジャーズ本部で再会したり、ソーとスティーブが戦場で再会して言葉を交わしたり。
その時にソーがグルートを紹介して、
グルート 「I am Groot!」(俺はグルート)
スティーブ「I am Steve Rogers」(僕はスティーブ・ロジャース)
という会話がありましたね。
戦闘中に自己紹介で返すのはスティーブらしい人柄がよく出ていると思いますが、グルートは同じ単語しか言えない訳なので、何も自己紹介したとは限りませんよね?何か別の意味のことを言ったかもしれない。
例えば、
グルート 「俺は最強だ!」
スティーブ「僕はスティーブ・ロジャース」
という会話だったかもしれないし、あるいは
グルート 「腹が減ってきたな!」
スティーブ「僕はスティーブ・ロジャース」
という会話だったかもしれませんよ?(笑)
映画館では笑っている人が居ませんでしたが、面白いシーンの1つだったと思います。
初顔合わせで言うと、トニーとストレンジは最初反発し合ってましたね。どちらも俺様キャラの似た者同士だし、トニーとソーも初めて会った時は戦ってしまいました。トニーは科学者(あるいは技術者?)だから、魔術というものに対して拒否反応を示すんじゃないかと映画公開前は思っていましたが、そんなことは全然無く意外でした。
他にも、ソー&ガーディアンズ、ガーディアンズ&アイアンマン&ストレンジ&スパイダーマン、オコエ&ナターシャ…など、色んな組み合わせがありましたね。
バッキーがロケットを掴んで2人で周りの敵を撃ち抜くシーンがあったりとか。ところであの気持ち悪いエイリアン達は、「宇宙のワンコ」なのですか?ロケットがそう言っていましたが(笑)
アクションシーン
序盤から緊迫した戦闘シーンがあって良かったと思います。
僕が特に気に入ったのはサノスvsストレンジです。絶大な力を持つインフィニティ・ストーンの攻撃に対して、魔術で対抗できるストレンジカッコ良い…。石が無ければストレンジが勝ったのでは。
このシーンが気に入った他の理由として、飛び道具戦だったことです。オリジンの『ドクタ・ストレンジ』は魔法の武器を使った接近戦がほとんどでした。それはそれで良いのですが、僕は魔法といえば遠距離攻撃というイメージを持っているので、お互い離れた所から攻撃し合うシーンが見たかったなと感じていました。サノスvsストレンジでそれが見られたので満足しました。
僕の中でストレンジは、ソーに次いで目立つ活躍だったなと感じました。ニューヨークでもタイタンでもカッコ良かった。でもどちらの戦いでも負けたのが意外。
小ネタ
これは山ほどあると思うので、一部を書きます。
言われていた通りになったこと
『インフィニティ・ウォー』で言われていて、『エンドゲーム』で実現したことが幾つかあったと思います。
例えば、序盤にソーがサノスに「殺してやる」と言っていましたが、『エンドゲーム』で有言実行しました。また、サノスに「頭を狙うべきだった」と言われたので、その通り首を落としました。
『インフィニティ・ウォー』でトニーは子どもが生まれる夢を見て「モーガン」と名付けたと言っていましたね。『エンドゲーム』で登場した子どもの名前はモーガンでした。
サンクタムでのタイムストーンに関する会話で、
ストレンジ「サノスを倒す唯一の鍵」
トニー 「私たちを倒す鍵になるかも」
というやり取りがありましたが、どちらも正しかったのではないでしょうか。ストレンジが唯一の勝ちパターンを見ていたからサノスを倒せたのだし、サノスが全ての石を手に入れたから半分の人間を消されたわけですからね。
「ハルクがいる」
ロキがサノスに言った「We have a Hulk(ハルクがいる)」というセリフ。
これはかつてスターク・タワーでトニーが、ロキに対して言った言葉でした。『アベンジャーズ』の名言だと思ってます。
「I have an army(私には軍隊がある)」と嘯くロキに対してトニーが「We have a Hulk(こっちはハルクだ)」と言っていたのを、今度はロキが別の敵に言うというのは面白いですね。
しかしソーは既にダウンしているし、ハルクもサノスに完敗。アベンジャーズ屈指のパワーファイターである2人が負けたことで、サノスがいかに強いヴィランであるかを観客に示しました。
『アベンジャーズ』の時、ソーが地球に来た方法
『マイティ・ソー』のラストでビフレスト(虹の橋)を壊したので、アスガルドから他の星へは行けなくなったはずでした。しかし『アベンジャーズ』でソーが突然やって来たので、あれ?と思った方も多いでしょう。
その後のロキとの会話で「父上から大量の暗黒物質をもらって地球へ来られただろ」と言われていたソー。
どういう事だったのかなと考えていましたが、『インフィニティ・ウォー』でヘイムダルがハルクを地球に送ったのと同じ方法だったことが分かりました。
あの方法だと一方通行なので、帰りは「スペース・ストーンを使え」と言われていたようで、実際にその通りにしてソーはロキを連れアスガルドに帰りました。
神
序盤にロキがサノスに向かって「お前は神にはなれない」と言っていましたが、『インフィニティ・ウォー』の最後のセリフは、キャプテン・アメリカの「Oh,God(何て事だ)」でした。
ソーのハンマー
ソーのハンマー・ムジョルニアについて、オリジンやバトルロイヤル(原題:ラグナロク)で、「死にゆく星の核で作られた」と言及されたいました。どこなの?とずっと気になっていたのですが、ニダベリアという星が出てきてスッキリしました。「死にゆく星」ということは、寿命がそろそろ尽きる星なのかな?
新武器のストームブレイカーは凄い威力でしたね。ロケットはストームブレイカーという名前について「大袈裟な」と言っていたけど、インフィニティ・ストーンの攻撃を物ともせず突き進んでサノスの胸に刺さりました。
ソーの年齢
ソーの年齢は今まで不明でした。実写版のソーも1000年以上は生きているんじゃないかと言われていましたが、「1500年生きてる」とはっきり数字が出てきましたね。アスガルドの時間は地球時間と同じなのか?と思わないでもないですが、そういうことを言い始めたらキリが無いので止めておきましょう。笑
ムジョルニアでなくとも空を飛べる
またしてもソーの話になってしまいますが、ワカンダに来た宇宙船を飛んで行って破壊して回ったり、空からサノスを襲いました。
雷神だから、例え武器が無くても空は飛べるのかな。そうであって欲しい。
スパイダーセンス
スパイダーマンが危険を察知する”スパイダーセンス”という能力。第6感みたいなものですね。『シビル・ウォー』でその描写が若干ありましたが(空港のバトルで、スパイダーマンの背後からバッキーが何か投げつけたのを回避した)、『ホームカミング』では特にそうしたシーンは無かったので、明確に映像で示されたのは今回が初でした。
バスの中で毛が逆立ったあのシーンです。
他にもガーディアンズの奇襲前に、「何か来る」とトニーとストレンジに伝えていました。
サノスのフィンガー・スナップの後、ピーターが消える前に「気分が悪い」と言っていたのも、スパイダーセンスによるものだったようです。
ストレンジの見た1400万605通りの未来
タイタンでサノス戦の前に「この戦いが招くあらゆる可能性を見てきた」と言っていたストレンジ。
『インフィニティ・ウォー』の監督によると、これはテレビみたいに映像を見るようなことではなく、『ドクター・ストレンジ』の終盤にドルマムゥ相手にやったように、身をもって体験するものだったとか。だからストレンジは、未来で1400万回以上も死んだと思われます。
非常に過酷な体験ですね。『エンドゲーム』で勝てたのはやっぱりストレンジのお陰かなと思います。
力尽きたソーの右手が動く
ニダベリアで武器を作るために絞りをこじ開け、星のパワーを受けてソーはダウンしました。そしてグルートが自分の腕を柄にしたことでストームブレイカーを完成させ、ダウンしているソーの右手が開くというあのシーン。
『マイティ・ソー』で似たようなシーンがありました。デストロイヤーに一度倒されるも、ハンマーがソーの元に戻って来て復活するというシーンが。
感じた疑問
ハルクはサノスを奇襲する前は何してた?
大した話ではないかもしれませんが、ハルクはサノスを奇襲するまでずっと隠れていたのでしょうか。最初から戦っていたならもっと早くダウンさせられたと思うし、ずっと隠れていたならアスガルド人が虐殺されるのをただ見ていただけということになってしまいますね…。映画の演出上、あれが1番良かっただけだとは思いますが。
ヘイムダルはなぜハルクだけ地球に送った?
ソーも一緒に送るのはダメだったのかな、とちょっと思います。
ハルクとソーが離れた場所に居たから、どちらか1人しか送れなかったのかなと解釈しています。
何で鎧を脱ぎ捨てた?
サノスはスペース・ストーンを手に入れた時、何で鎧を脱いだのでしょうか。
インフィニティ・ストーンが2つもあれば、その後の戦いは鎧など無くても余裕だと判断したのでしょうか。
『エンドゲーム』での決戦では鎧を着ていましたけど。
サノスとブラックオーダーの出会いは
あの4人の手下はタイタン人なのか、それともガモーラみたいにどこかの星でさらって来たのか気になりました。
ナノテクスーツ
『インフィニティ・ウォー』のアイアンマンスーツは「ナノテク」とトニー自ら言っていました。そしてブラックパンサースーツもナノテクです。トニーは胸に着けた格納ユニットからスーツを装着でき、ティ・チャラはネックレスからスーツを装着できます。
『ブラックパンサー』のラストで、ティ・チャラはワカンダの技術を世界と共有するとスピーチしました。そのお陰でトニーはナノテクのアイアンマンスーツを作れたのか、自力であの境地に達したのかが分かりませんでした。
あと大した話ではありませんが、スーツ装着前にトニーはメガネを取りました。あのメガネはアイアンマンスーツに取り込まれたのでしょうか?落としたようには見えないし、手に持っていたメガネがスッと消えたように見えます…。
コタティ族のメタルファイバーとは?
ガモーラがダウンしているソーの腕をスリスリしながら言った「コタティ族のメタルファイバーみたい」というセリフ。
メタルファイバーは金属繊維ですよね。ブラックパンサースーツがまさにそれだと思いますが、ソーの体はブラックパンサースーツと同じような質感なんでしょうか?笑
あとコタティ族って何だろう?初めて聞きましたが。
サノスはドワーフを1人だけ生かしたのはなぜ
ソーの武器が作られたニダベリアという星。ドワーフの王エイトリは「皆殺しにされた。俺だけを残して」と言っていました。
しかしサノスの流儀に従えば、半分で良いはず。今まで無作為に半分を選んで殺してきたのに、何でニダベリアではそうしなかったのでしょう?
しかも1人だけ残す意味が分かりません。エイトリの手を不自由にしたようですが、サノスにしてはやることが中途半端な気がします。アスガルド人に新武器を作らせないために皆殺しにするのなら、1人でも残したらダメでしょう。サノスの立場で言えば、ドワーフ1人を残したことでソーの新武器入手を許してしまったわけだし、ソーのことも最初に始末しておけば『エンドゲーム』で倒されることも無かったわけです。
エイトリとソーの2人に共通しているのは、王だということですね。もしかしたら、国の王は直接手を下さないというのがサノスの流儀の1つだったりするのかもしれません。
アスガルド人に新武器を作らせないために皆殺しにする。でもサノスの流儀として王1人は残す。これなら説明がつくかも?納得感が低いけど。
終わりに:やっぱり面白い
こうして書いてくると、ソーのことばかりになってますね。それだけ『インフィニティ・ウォー』ではソーが目立っていたということです。僕としてはアントマンとホークアイが出て来ないのが残念なところでした。
アベンジャーズ1作目と2作目のような、勝って終わるお祭り映画を期待した人にとっては『インフィニティ・ウォー』は不満の残る映画だったかもしれませんね。気持ちは分かります。しかし『インフィニティ・ウォー』は『エンドゲーム』と2つでセットの話なので、この2作を合わせて評価するべきかなと思います。